「【訃報】オレグ・ヤンコフスキーさん(ロシア俳優)」
ほとんどの日本人にとっては(といってもその数も少ないかもしれないが)、おそらくタルコフスキーの映画「鏡」「ノスタルジア」の2本での主演ではないかと思う。といっても鏡での出演シーンはほとんど無いから実質「ノスタルジア」の印象が強い。僕のこの映画とのつきあいは20年ぐらいになるかもしれない。レーザーディスクでは何回見たかわからないが、その都度に清新な印象を受ける。
以前、実家でテレビを見ていたら「おろしや国酔夢譚」でヤンコフスキーが出てきてびっくりしたことがある。作品の中では緒形拳の熱演がやたら目立ったのと対照的に、彼の演じた役柄は消化不良で、気がついたら画面から消えていたような気がするが、ロシアでは旧ソ連時代から押しも押されぬ名優として活躍していたせいでキャスティングされたのかもしれない。ソ連のサイトで彼のスチール写真を観ても、自分を完全に空っぽにして役にあっさり埋没させることのできるタイプなのだろうなという気がする。いろいろな監督から引き合いがあったわけだ。
パイプを愛用している写真が様になっている。謹んでご冥福をお祈りする次第だ。