ようやく本が仕上がってきた。
こうして実際に仕上がった本を手に取ってみると、
やはり感慨深いものがある。
10年を費やす値打ちは、おそらくこの作品にはなかった
だろうと思う。もうちょっと自分に甲斐性(とでも言うのか)
があれば、早く、そしてもっと大きく世に出すことが出来た
かも知れない。
しかしそれは叶わないことだった。
それほどまでにこの作品は自分の人生のかなりの部分を占める
存在になってしまったのだ。
原稿用紙490枚超は伊達ではない。
こうして見るとやはり結構分厚い。
さて、こんなどこの馬の骨が書いたのやらもわからないような本を、
果たしてどこの誰が買ってくれるのだろう?
ページを開いて、字面を追ってみたら、この作品に費やした日々が
走馬燈のように脳裏を駆けめぐり……なんてことが起こることを
期待したのだが、どうもそういう感じはならなかった。
よくよく思い出してみれば、これを書いた日々は、他人から見たら
恐ろしく起伏の乏しい日々だったことに、今更ながら気がつかされる。
さて、これからどうなるだろう?
もちろん何も起きないことの方が、可能性は大なわけだが。